日本に多大な影響を与えた明代美術の精華を鮮明カラーと解説で紹介。
モンゴル民族の元を北に撤退させ、漢民族による統治を復活した明は、その喜びと自信を表すかのように多彩な美術を生みだした。その最大の特徴は絵画である。明は絵画の黄金時代であった。浙江を舞台にし、浙派と呼ばれた載進(たいしん)、呉偉、張路、藍瑛(らんえい)などの画家は、雄大で奔放な画風で中期まで画壇を席巻した。浙江と並び称せられたのが、蘇州を舞台にして活躍した呉派であり、沈周(しんしゅう)、董其昌(とうきしょう)、文徴明(ぶんちょうめい)、唐寅(とういん)などは高雅な趣を目指し、後期の文人画の主流となった。日本への影響が多大だったのもこの画派である。 董其昌や文徴明は書もよくし、とくに董其昌はこの時代のスーパースターであった。 陶磁器は景徳鎮窯(けいとくちんよう)が隆盛を極め、青花(せいか)、五彩、豆彩といった装飾性に富む磁器が製作され海外にも輸出された。日本人に最も好まれた〃やきもの〃であった。また、技術の粋をつくした堆朱(ついしゅ)、螺鈿(らでん)などの漆工品、琺瑯(ほうろう)などの金工品にも名品が生まれた。 大陸各地に残る仏教、イスラム、チベット仏教寺院、孔廟などもこの時代の宗教活動を物語り、紫禁城、長城の整備もなされ、江南には名庭が造営された。国力充実の300年間の美術の精華を500点の鮮明カラーと最新の研究成果を反映した文章で構成した。
●収録作品9600点以上。地球的規模の美術大全集。
各時代を代表する各品から未知の逸品まで、空前の収録点数を大系化。西洋編全28巻とあわせもつことで地球的な視野から美術史を見わたせます。
●世界中に及ぶ、2500か所以上の新規撮影を敢行。
アジア全域のほかフランスのルーブル美術館、ギメ美術館、ロシアのエルミタージュ美術館など、各国の美術館を取材。世界第一級の美術写真家による撮り下ろしです。
●発掘、修復など、各国の最新の研究成果を反映。
各国の遺跡、文化財調査団や研究者の活動にあわせて取材を展開。従来の学説を変える発見が続く中国など、アジア各国の発掘、修復の成果を迅速に反映させた内容。
●ジャンル別の美術全集にも匹敵する充実の内容。
仏像、陶磁器、絵画、書など各分野の美術全集を凌ぐ内容は、第一級の研究科です。アジアの名作のわかりやすい解説は、より深い海外旅行のガイドとして活用できます。
●最新の印刷技術を駆使。次世代への美のかけ橋。
印刷技術の粋を結集。崩壊の危機に瀕する多くの名作を再現。また、各国の最高の執筆陣による解説・論文を多数収録。
( )内は責任編集者です。
1 先史・殷・周 (高階秀爾/岡村秀典)
2 秦・漢 (曽布川 寛/谷 豊信)
3 三国・南北朝 (曽布川寛/岡田 健)
4 隋・唐 (百橋明穂/中野 徹)
5 五代・北宋・遼・西夏 (小川裕充/弓場紀知)
6 南宋・金 (嶋田英誠/中澤富士雄)
7 元 (海老根聰郎/西岡康宏)
8 明 (宮崎法子/西岡康宏)
9 清 (西上 実/中野 徹)
10 高句麗・百済・新羅・高麗 (菊竹淳一/吉田宏志・)
11 朝鮮王朝 (菊竹淳一/吉田宏志)
12 東南アジア (肥塚 隆)
13 インド(1) (肥塚 隆/宮治 昭・)
14 インド(2) (肥塚 隆/宮治 昭)
15 中央アジア (田辺勝美/前田耕作)
16 西アジア(田辺勝美/松島英子)
17 イスラーム(杉村 棟)