隣国、朝鮮半島の気どらぬ日常の美の世界をあまねく紹介する画期的な書
仏教を信奉していた高麗王朝を1392年に倒し、1910年まで500年以上存続した朝鮮王朝は、国是を儒教に改めた。自然になじみ、民を慈しむ儒教の心が「明澄な朝鮮時代の美」をはぐくんでいった。形にとらわれない陶磁器、曲がりくねったままの木材を使った寺院建築、技巧をこらさないように見えるので、いつまでも飽きのこない工芸品。朝鮮王朝の美術の特徴は、部屋に置き、つねに眺めることで儒教の精神をはぐくむことにあった。 それらの美術品は古くから日本人に愛好され、陶磁器を始め、石製品、銅製品、絵画、仏画が日本に多量に伝存している。 大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国に伝存する美術品はいうまでもなく、日本に伝存している朝鮮王朝の美術作品をあまねく取材し、今まで紹介されることの少なかった朝鮮王朝時代の美を各ジャンルから網羅した。 執筆者も韓国最高の学者と、日本最高の学者を動員し、高度ながらも理解しやすいように解説し、朝鮮王朝の美の本質に追った。眺めるたびに親しみがこみあげてくる朝鮮王朝の美術作品の中から、自然を愛し、民を慈しむ隣人の心が感じられよう。
●収録作品9600点以上。地球的規模の美術大全集。
各時代を代表する各品から未知の逸品まで、空前の収録点数を大系化。西洋編全28巻とあわせもつことで地球的な視野から美術史を見わたせます。
●世界中に及ぶ、2500か所以上の新規撮影を敢行。
アジア全域のほかフランスのルーブル美術館、ギメ美術館、ロシアのエルミタージュ美術館など、各国の美術館を取材。世界第一級の美術写真家による撮り下ろしです。
●発掘、修復など、各国の最新の研究成果を反映。
各国の遺跡、文化財調査団や研究者の活動にあわせて取材を展開。従来の学説を変える発見が続く中国など、アジア各国の発掘、修復の成果を迅速に反映させた内容。
●ジャンル別の美術全集にも匹敵する充実の内容。
仏像、陶磁器、絵画、書など各分野の美術全集を凌ぐ内容は、第一級の研究科です。アジアの名作のわかりやすい解説は、より深い海外旅行のガイドとして活用できます。
●最新の印刷技術を駆使。次世代への美のかけ橋。
印刷技術の粋を結集。崩壊の危機に瀕する多くの名作を再現。また、各国の最高の執筆陣による解説・論文を多数収録。
( )内は責任編集者です。
1 先史・殷・周 (高階秀爾/岡村秀典)
2 秦・漢 (曽布川 寛/谷 豊信)
3 三国・南北朝 (曽布川寛/岡田 健)
4 隋・唐 (百橋明穂/中野 徹)
5 五代・北宋・遼・西夏 (小川裕充/弓場紀知)
6 南宋・金 (嶋田英誠/中澤富士雄)
7 元 (海老根聰郎/西岡康宏)
8 明 (宮崎法子/西岡康宏)
9 清 (西上 実/中野 徹)
10 高句麗・百済・新羅・高麗 (菊竹淳一/吉田宏志・)
11 朝鮮王朝 (菊竹淳一/吉田宏志)
12 東南アジア (肥塚 隆)
13 インド(1) (肥塚 隆/宮治 昭・)
14 インド(2) (肥塚 隆/宮治 昭)
15 中央アジア (田辺勝美/前田耕作)
16 西アジア(田辺勝美/松島英子)
17 イスラーム(杉村 棟)