平安人士が愛好した白楽天や貫之の絶唱が蘇る、王朝詞華集
平安時代、藤原公任が、朗詠に適した漢詩句と和歌八百余首を選りすぐり、春、夏、秋、冬、風、雨、帝王、将軍などの部立ごとに編纂したアンソロジーです。 全編を通して、平安の昔から現代にいたるまで親しまれてきた名句が綺羅星のごとく並び、王朝の風流や美意識が匂い立ってくるようです。 たとえばふだん目にする「雪・月・花」という言葉。風流な自然美の象徴としてしばしば用いられますが、これをひとまとまりの言葉として文学作品に用いたのは唐代の大詩人、白楽天でした。そして、藤原公任は『和漢朗詠集』にその詩句を取り上げ、以来、日本に定着していったのです。 白楽天のほか、中国の詩人からは元■や劉■錫など、日本の詩人からは菅原道真や菅原文時など、歌人からは柿本人麻呂や紀貫之など、錚々たるメンバーが絶唱を繰り広げます。 漢詩文と和文のみごとな融合は、後の和漢混淆文を生む原動力となり、一方では、謡曲などに大きな影響を与えました。書道の手本として愛好された歴史もあることから、本文には書家の選定による優れた古写本の写真をあしらい、巻末には、作者略伝、漢詩句全文一覧、漢詩句索引、和歌初句索引など、付録を満載しました。 ぜひこの機会に、平安時代に生まれた王朝詞華集をご一読ください。
<シリーズ説明>第一期48巻には、日本を代表する古典、日本人としてぜひ読んでおきたいベーシックでポピュラーな作品を収録。上段に頭注、中段に原文、下段に現代語訳と同一ページにすべてを配した読みやすい3段組みです。注番号や見出し、有職図版、鑑賞注などは見やすい色刷りに。原文は最良の底本を使用、校注者には最高の執筆陣を動員。なめらかな現代語訳、現在通行の字体で表記した原文、わかりやすく、しかも原文の感動が伝わります。巻末には、作品の成立や時代背景などを解説、さらに地図・系図・年表索引なども充実させました。( )内は校注・訳者。第二期40巻には、中古、中世、近世にわたり、日本人としてぜひ読んでおきたい珠玉の名作をバランスよく選びました。長い歳月を読み継がれてきた文学作品の魅力を余すところなくお届けします。いまいちばん新しく、いちばん読みやすい古典文学全集であると同時に、あなたの、そして次世代への価値ある知的財産でもあります。上段に頭注、中段に原文、下段に現代語訳と同一ページにすべてを配した読みやすい3段組です。注番号や見出し、有職図版、鑑賞法などは見やすい色刷りに。原文は最良の低本を使用、校注者には最高の執筆陣を動員。なめらかな現代語訳、現在通行の字体で表記した原文、わかりやすく、しかも原文の感動が伝わります。巻末には、作品の成立や時代背景などを解説、さらに地図・系図・年表・索引なども充実させました。()内は校注・訳者。未刊分は予価。★うつほ物語@(中野幸一)ISBN658014◆うつほ物語AISBN658015◆うつほ物語B★落窪物語・堤中納言(三谷栄一・三谷邦明・稲賀敬一)ISBN658017★和漢朗詠集(菅野禮行)ISBN658019★浜松中納言物語(池田利夫)ISBN658027◎狭衣物語@(小町谷照彦・後藤祥子)ISBN658029◆今昔物語集@(馬淵和夫・国東文麿・稲垣泰一)ISBN658035◆今昔物語集AISBN658036◆今昔物語集B◆今昔物語集C★住吉物語・とりかへばや物語(三角洋一・石埜敬子)◎松浦宮物語・無名草子(樋口芳麻呂・久保木哲夫)ISBN658040◆将門記・陸奥話記・保元物語・平治物語(矢代和夫・柳瀬喜代志・松林靖明・信太 周・犬井善濤)★神楽歌・催馬楽・梁塵秘抄・閑吟集(臼田甚五郎・新間進一・外村南都子・徳江元正)ISBN658042◆建礼門院右京大夫集・とわずがたり(久保田淳)ISBN658047