うがち・もじり・見立て。江戸に花開いたパロディとナンセンスの饗宴
江戸時代中期、享保改革と寛政改革の中間に、いわゆる田沼時代を中心とする、比較的のびのびした享楽的・開放的な世情を背景に、江戸の地で花開いた戯作の文学。 「黄表紙」は、もともとは婦女童女向けの絵入り仮名書き出版物である草双紙の、安永中期から文化初頭まで、およそ三十年間の呼称です。草双紙としての粗末な造本と、絵入り仮名書きでお子さま相手の出版という表面上の形式はそのままに、成人の鑑賞にもたえる第一線の文学に発展したものです。「川柳」は、本格的な俳諧の従属派生物とでもいう意識から、雑俳と呼ばれるものの一種。正確には「川柳点の前句付(まえくづけ)」というべきもので、撰者の前句付の出題に対して、多くの人々が応募する万句合(まんくあわせ)という、大衆庶民的な色彩の濃い文芸から発展しました。 「狂歌」は伝統的な和歌に対抗し、卑俗をもって高雅に挑戦するという遊び心から、天明期を頂点として文化運動の観を呈するまでになります。これらを総称して戯作といい、権威のパロディや斬新奇警な観察がもたらす写実、そして現実の戯画化などを特色とします。本書はこの江戸の戯作精神のエッセンスをふんだんに盛り込みました。
<シリーズ説明>第一期48巻には、日本を代表する古典、日本人としてぜひ読んでおきたいベーシックでポピュラーな作品を収録。上段に頭注、中段に原文、下段に現代語訳と同一ページにすべてを配した読みやすい3段組みです。注番号や見出し、有職図版、鑑賞注などは見やすい色刷りに。原文は最良の底本を使用、校注者には最高の執筆陣を動員。なめらかな現代語訳、現在通行の字体で表記した原文、わかりやすく、しかも原文の感動が伝わります。巻末には、作品の成立や時代背景などを解説、さらに地図・系図・年表索引なども充実させました。( )内は校注・訳者。第二期40巻には、中古、中世、近世にわたり、日本人としてぜひ読んでおきたい珠玉の名作をバランスよく選びました。長い歳月を読み継がれてきた文学作品の魅力を余すところなくお届けします。いまいちばん新しく、いちばん読みやすい古典文学全集であると同時に、あなたの、そして次世代への価値ある知的財産でもあります。上段に頭注、中段に原文、下段に現代語訳と同一ページにすべてを配した読みやすい3段組です。注番号や見出し、有職図版、鑑賞法などは見やすい色刷りに。原文は最良の低本を使用、校注者には最高の執筆陣を動員。なめらかな現代語訳、現在通行の字体で表記した原文、わかりやすく、しかも原文の感動が伝わります。巻末には、作品の成立や時代背景などを解説、さらに地図・系図・年表・索引なども充実させました。()内は校注・訳者。未刊分は予価。★うつほ物語@(中野幸一)ISBN658014◆うつほ物語AISBN658015◆うつほ物語B★落窪物語・堤中納言(三谷栄一・三谷邦明・稲賀敬一)ISBN658017★和漢朗詠集(菅野禮行)ISBN658019★浜松中納言物語(池田利夫)ISBN658027◎狭衣物語@(小町谷照彦・後藤祥子)ISBN658029◆今昔物語集@(馬淵和夫・国東文麿・稲垣泰一)ISBN658035◆今昔物語集AISBN658036◆今昔物語集B◆今昔物語集C★住吉物語・とりかへばや物語(三角洋一・石埜敬子)◎松浦宮物語・無名草子(樋口芳麻呂・久保木哲夫)ISBN658040◆将門記・陸奥話記・保元物語・平治物語(矢代和夫・柳瀬喜代志・松林靖明・信太 周・犬井善濤)★神楽歌・催馬楽・梁塵秘抄・閑吟集(臼田甚五郎・新間進一・外村南都子・徳江元正)ISBN658042◆建礼門院右京大夫集・とわずがたり(久保田淳)ISBN658047