孝謙天皇の祖母である藤原宮子が海人の娘であるという道成寺に残る宮子出生伝承は事実でないかと著者は指摘する。孝謙天皇の道鏡への恋も、祖母の海人の血から発した仏教的な平等思想のあらわれであることを論征する。
あふれる情熱と豊かな想像力で真理を探究し、人間とは何か、日本とは何かを深く思索つづけてきた梅原猛。哲学、歴史、文学、宗教、芸術など既存の枠組を越える壮大でユニークな作品群は「梅原日本学」とも称され、多くの読者を獲得してきました。本著作集では、主要著作に、新たに書き下ろし作品「法然の哀しみ」を加え、「教育問題」「地球環境問題」「長江文明論」など、著者が全力で取り組んでいる最新のテーマ作品も網羅。