ギリシアからアイヌ、沖縄まで異界探検の旅は続く、死と再生の物語。
ヨーロッパの近代文明は、ギリシアの理性とイスラエルの信仰、すなわちキリスト教を受けついで成立したが、主役はあくまでギリシア的理性であり、この理性の復活が近代科学を生み巨大な物質文明をもたらした。ギリシアはヨーロッパにとって理性の母国であり、われわれはこの理性の国の異界を探検しなければならない。この理性の国に異界はあるのか。その異界はどのように近代にひきつがれたのか。異界への旅は、アイヌ、沖縄へと続き、いよいよ佳境に入る。
あふれる情熱と豊かな想像力で真理を探究し、人間とは何か、日本とは何かを深く思索つづけてきた梅原猛。哲学、歴史、文学、宗教、芸術など既存の枠組を越える壮大でユニークな作品群は「梅原日本学」とも称され、多くの読者を獲得してきました。本著作集では、主要著作に、新たに書き下ろし作品「法然の哀しみ」を加え、「教育問題」「地球環境問題」「長江文明論」など、著者が全力で取り組んでいる最新のテーマ作品も網羅。