画家、熊田千佳慕が身近な野山に咲く花たちを細密画と詩で描写。筆先のひとつひとつが生命の息吹を感じさせてくれる美しい画集です。
「私は花や虫たちのことばのわかる画家になりたかったのです。これはその花たちとの会話を、ことばと絵と詩でつづった花のメモリーです」――これは画家・熊田千佳慕が書いた、この本の「はじめの言葉」です。この言葉が本のすべてを物語っています。地面にはいつくばって花を観察し、いつくしむ気持ちでカンバスに向かうのです。
氏はファーブルの世界を描く画家として、世界的に有名です。イタリア・ボローニャ国際絵本原画展で2回も入賞し、第38回小学館絵画賞も受賞しています。プチ・ファーブルといわれることは、氏の誇りでもあります。さらに横浜文化賞、神奈川県文化賞という名誉も得、テレビにもNHKプライム10、テレビ朝日『徹子の部屋』、TBSハイビジョンドキュメント番組にも出演しています。横浜高島屋で催された原画展の入場者は6万人にものぼり、氏の人気の高さを証明しています。86歳の現在、絵筆を持つ手はおとろえるどころか、さらにみがきがかかってきているのです。そしてこの花の画集ができあがりました。花をいつくしむ氏の気持ちが、本をとおして伝わってきます。