スローライフの要(かなめ)は「照明」にあり!
人間にとって真に心地よい「灯り」とは?
明るさ至上主義の日本を見直す画期的考察!
<本書は、私の知るかぎり、照明をテーマとして取り上げた日本で最初の新書である。照明は、われわれの生活圏のありとあらゆる物体に光を当て、人々に大きな恩恵を与える。しかし、ひるがえってだれも照明に光を当てようとはしなかった。…>
(著者「まえがき」より)
<本書の内容>
第一章 太古から産業革命以前までの人間生活と照明
第二章 寒くて暗い国に起きた産業革命と光源の発達
第三章 照明採光技法の発達
第四章 近代以後のビル様式の流れと照明の変遷
第五章 照明の後戻り
■「明るさ信仰」の時代は終わった
洋の東西を問わず、近世まで照明といえばロウソクか油(オイル)ランプであり、夜は暗く、暮らしは陰翳(いんえい)に満ちていた。ところが産業革命以来、ガス灯、アーク灯、白熱電球、蛍光灯と、照明は急激な発達を遂げ、街も家の中も照度(ルクス)を増していった。明治以降、日本も遮二無二その文明を吸収し、昭和初年、すでに東京はパリ、ロンドンより明るくなり、さらに戦後は世界一蛍光灯を愛する国となった。だがその明るさにより生活が過度にスピード化し、スローライフが提唱される現在、〈明るさ信仰の時代もすでに過去のものなのである〉(本文より)。果たして、真に快適な灯りとは何か? 照明・光源の発達史をたどり、人間生活と照明の理想的関係をさぐる画期的考察!