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2006年秋 ラストフライト
東京オリンピックの聖火を運んだ、国産初の旅客機。
ビジネスに、新婚旅行に、生活の足として、私たちはどれほどお世話になったのだろう。
本書の内容
序章――ラストフライト
1. 計画――日の丸旅客機の黎明
2. 開発――五人のサムライと新世代技術者
3. 離陸――初飛行と“聖火”空輸の栄誉
4. 技術――YS-11のテクノロジー
5. 展開――YS-11のファミリー
6. 飛翔――日本の翼、世界の空へ
7. 失速――無念の生産打切り
8. 運行――日本のエアラインとYS-11
終章――惜別のダート・サウンド
<■日本の頭脳と技術の結晶>
YSは、「輸送機(YUSOKI)設計(SEKKEI)」のローマ字の頭文字だ。YS-11の開発当初は、いくつかのエンジン案、主翼(翼面積)案があったが、最終的にエンジンの第1案と翼面積の第1案の組合わせが採用になった。そこでこれをYS-11(ワイエスいちいち)と呼ぶことにした。もともとは「じゅういち」ではなく「いちいち」だったのだ。
YS-11、日本が第2次世界大戦後、初めて開発した、双発ターボプロップ近距離用中型旅客機で、広く世界に輸出された初めての機体である。182機を生産し、世界の空で活躍した。日本の頭脳と技術の結晶が、ついに引退の時を迎えた。