青梅山中で虚無僧（こむそう）姿の絞殺死体が発見された。被害者は会社役員・羽田栄三（はねだえいぞう）であった。事件の調査に乗り出したルポライター浅見光彦（あさみみつひこ）は，尺八名人の羽田がかつて暮らした修善寺由縁（ゆかり）の秘曲「滝落（たきおち）」の吹奏を拒絶していたことに疑問を抱いた。伊豆へ愛車ソアラを駆った浅見は，事件当日，修善寺で虚無僧が目撃されていた事実を掴んだ。これは偶然なのか？　やがて，浅見の前に「失われた道」という謎の言葉（ダイイング・メッセージ）が立ちはだかった……。源頼家（みなもとのよりいえ）忌に伊豆で何が起こったのか？　大人気の著者が描く本格推理傑作！