〈ビジネスは親友を宿敵に変えた〉。新興リゾート会社社長・蓼科（たてしな）は，五輪開催に沸く長野に進出した。だが，県下の観光事業はリゾート開発に力を注ぐ成都（せいと）鉄道が牛耳っていた。なりふり構わぬ蓼科は，旧友椎名（しいな）のシンクタンクから人材を引き抜き，成都への醜聞（スキャンダル）攻撃を開始した。一方，事態を静観していた椎名は，元部下が汚れた裏工作に利用された事実を掴み激怒，蓼科のもとへ……。ついに対決する親友同士！　はたして利権戦争の結末は？　新鋭が男の絆と死闘を描く感動の最新ハードボイルド傑作！

『野望の荒野』『死闘・カリスマの魔刻』（いずれもノン・ノベル／祥伝社刊）と，苛烈（かれつ）なビジネス世界を舞台に，理不尽な現代社会に生きる男の怒りを，重厚で骨太な筆致で謳い上げてきた本シリーズも，ついに堂々の完結を迎えた。本作脱稿後，「今回は本当に力が入った」と語る氏の言葉には，最高の自信作でシリーズ最後を締めくくることができたという充実感がこもる。白銀の世界で展開されるラストシーンは，必ずや読者を感動の渦に巻き込むことだろう。