〈自殺した代議士和泉(いずみ)は脅されていた。犯人は《人形(クークラ)》の異名を持つ闇の兵器商人(ロシアン・マフィア)だ〉ロシア人情報屋からの手紙に元公安刑事木村彰一(きむらしょういち)は驚愕した。放置すれば和泉の師で次期首相候補の相田(あいだ)に危険が及び,日本が脅迫される! 木村は密かにロシア検察庁と連携し調査を開始したが,突如,思わぬ敵が出現。それは古巣・公安の精鋭(キャリア)梅浦(うめうら)だった。国家を守る公安が何故? はたして《人形》の正体は…。日本―露(ロシア)―欧州(ヨーロッパ)―中東を結ぶ国際謀略と死闘! 実力派が新境地を拓く渾身の超弩(ど)級サスペンス誕生!
「こんな大仕掛けの物語は,二度とは書けないかもしれない」と語る氏の表情には充実感が漲(みなぎ)る。日本―ロシア―ヨーロッパ―中東を舞台に仕組まれていた謀略が,“赤い死神(マフィア)”によって十年の時を経て動き始める。その壮大な仕掛けが,二人の男の宿命の闘いに収斂(しゅうれん)されていく様は圧巻で,氏の画期的(エポックメーキング)な作品となることは間違いない。