「…？？？」欲の皮を張りつめた三人の姉弟（きょうだい）たちは，絶句した。莫大な財産を持つ大阪天神橋の元呉服商，轟健策（とどろきけんさく）の遺書は，意味不明な文字の羅列やパズルのような虫食い枠ばかり。つまり暗号だったのだ。中之島の図書館に通うことが唯一の日課だった孤独な老人。その趣味をただ一人知る弁護士が解読に挑んだが……（表題作）。――難読地名，魚類生態学，古代伝説，そして人皮本（じんぴぼん）の謎。俊英が惜しみなく実力を注ぎ込んだ，奇想満載の異色推理コレクション！