旅行作家茶屋次郎(ちゃやじろう)は北海道行き大型フェリーの旅を満喫していた。目的地は根室・納沙布岬。だが下船直後,茶屋の運命は暗転した。船中の乗用車から男性の他殺死体が発見され,航海中,船内各所をうろついていた茶屋に嫌疑がかけられたのだ。憤然とした茶屋は独自調査を決意,知り合った美女四季乃(しきの)と共に道東を巡るが,突如,尾岱沼で四季乃が失踪した。はたして彼女の行方は? 茶屋は事件の真相を掴めるか…。旅情溢れる日本最東端の岬を舞台に円熟の名手が贈る新機軸,"岬シリーズ"第1弾!
「海に臨む“岬”には,詩情があります。物語(ドラマ)があります。これまで全国の川を巡ってきた茶屋次郎(ちゃやじろう)ですが,今度は各地の“岬”を歩かせたい。きっと意外な物語が待っているはずです」と語るように,主人公茶屋の名推理と■れる旅情で人気を博してきた“名川シリーズ”(ノン・ノベル/既刊10冊)は本作から新展開,“岬シリーズ”の発進(スタート)である。はたして第1回納沙布岬では何が起こるのか―。