伝奇スペクタクルロマン 完結!
邪、妖、怪の陰謀と難敵!
晴明の理想は成るか
天慶7年(944)、安倍晴明が主宰する土御門(つちみかど)神道は、平安京の市井にひろがっていた。だが、人気を妬み、肩入れする成明親王の東宮(皇太子)冊立を阻止すべく、陰陽師蘆屋道満は最後の策を打った。妖婦朧(おぼろ)を、朱雀帝の寵姫である縫姫になりかわらせ、睦言によって晴明、成明とその後見人の大納言師輔を失脚させるのである。ここに、晴明たちは最大の危機に陥った…。
晴明はこの難局を如何にして乗り切るのか!? 理想政治の達成は? 平安王朝に描く壮大妖美の伝奇ロマンついに完結!
〈著者のことば〉この物語の主人公成明(なりあきら)親王は21歳で即位し、村上帝となった。以後、村上帝は摂政や関白を置かず、18年にわたる親政を行なった。
これを天暦の治(てんりゃくのち)といい、村上帝は聖帝と称された。この天暦の治を陰で支えたのが安倍晴明であることはいうまでもない。
南北朝時代、鎌倉政権の打倒に立ちあがった後醍醐帝の目的は、村上帝の天暦の治を理想とする親政を行なうことであった。このように平安王朝で、ともすれば飾り雛的な存在になりがちだった歴代天皇のなかで傑出した帝だったのである。
陰陽師安倍晴明は今回で大団円を迎える。読者諸賢にはご堪能いただけたでしょうか。