新たなる吸血鬼伝説誕生!
神か? 悪魔か?
世紀末の日本に舞い降りた白皙(はくせき)の美貌を持つ男 ─ 龍 緋比古(りゅうあきひこ)
1973年『黄金伝説』、'84年『魔獣狩り』、'86年『魔界都市ブルース』……
2001年、ノン・ノベル伝奇小説の系譜に新たなる1ページが!
保険会社を馘(くび)になり、職を探す柚ノ木透子は、秘書の仕事を紹介された。雇主の名は龍緋比古。美術評論や翻訳を手がけ、オカルト分野では有名な著述家だという。明治期にも同名の人物がいることから、「龍は吸血鬼だ」と先輩から脅される透子。が、白皙の美貌を持つ彼に気味悪さを覚えつつも、鎌倉の古びた館に通うことになった。一方、東京では吸血鬼都市伝説が蔓延、行方不明者が続出していた。まさか彼が関係している? やがて透子の周囲に起こった変事……。果たして龍の正体は?
〈著者のことば〉
書きたくて書きたくてたまらない話を、一番書きたいときに書かせてもらえる。物書きにとってこれほど幸せなことはない。それはその物語にとっても、そしてそれを手にする読者のあなたにとってもだ、と思うのだけれど、どうだろう。『龍』の物語はようやく始まったばかりだ。あなたとともに、あの地平線の向こうまで歩いていきたい。