「名探偵 浦上伸介に最後の拍手を」大衆文学研究会会員・中野友擴氏(愛読者代表)
2日連続の「不可能」犯罪! 時刻表トリックを追え! アリバイ崩しの名手が遺した本格推理傑作!
最後の拍手を送りたい」 大衆文学研究会会員・中野友擴(愛読者代表)
平成12年11月29日─朝刊の死亡記事を見ていた。「津村秀介」という名前が目に飛び込んできた。一瞬、頭がポカンとした。あいかわらず体調が悪いとの手紙をいただいていたこともあって、心配はいつも心の隅にあった。そのような状況で執筆されていた作品の1つが、本書だったと思われる。津村秀介作品に登場する犯人は、悲しい性を背負って殺人に走ることが多いが、この犯人は違った。憎っくき犯人のうなだれる姿が見えるようでホッとするラスト。嗚呼、だが、この浦上伸介の新しい挑戦にはもう出会えない。残念だが、津村秀介先生と彼らに最後の拍手を送りたい。
3月6日、7日と連続して、東京駅に到着した東海道新幹線上り列車内で、男が青酸入りの缶コーヒーを飲んで死んでいた。マスコミ騒然の“毒殺連鎖”事件に名探偵(ルポライター)・浦上伸介も解明に乗り出したが、2人の被害者は共に三重県志摩の鳥羽・賢島ツアーに参加した帰途の奇禍であった。不可解な連続殺人の背景には何があるのか? だが、やがて浮上した最有力容疑者には鉄壁のアリバイがあった…。息を呑む時刻表トリック! 他の追随を許さない“アリバイ崩し”の名手が贈る傑作本格推理!