東京──大阪・天王寺──南紀を結ぶ追跡行
美女画が誘う死の香り 秘められた物語とは!
茶屋次郎の学友・袋田が一枚の肖像画を持参した。大阪・天王寺のホームレスの露店で見つけたこの絵のモデルが、父親の遺した謎の写真の美女と同じだったので買い求めたという。女の正体を探ってほしいとの希望に、雑誌連載の取材を兼ねて乗り出す茶屋。だが、写真の裏に書かれた「串本」の文字を手掛かりに出向いた南紀串本・潮岬で彼女は六年前に絞殺されていた! やがてその女性に思いを寄せていた男までもが犠牲に…。肖像画に秘められた数奇な物語とは? 旅情推理最新シリーズ第二弾!
作家探偵・茶屋次郎シリーズ第1作「梓川 清流の殺意」テレビドラマ化決定!
「水曜 女と愛とミステリー」〈テレビ東京系 水曜夜8時54分放送〉にて2001年7月下旬放映〈主演・橋爪功〉
〈著者のことば〉一年あまり前のことだったと思うが、祥伝社の編集者M氏から、大阪・天王寺動物園周辺の現状を知っているか、と訊かれた。何年も前からホームレスが大勢住みつくようになったことは知っていたが、現状を見たことはなかった。
本書の執筆にあたって、和歌山県の白浜や串本(潮岬)へ取材に出かけ、その帰途、天王寺でM氏と落ち合った。そこの住人(ホームレス)たちが、住人相手の商売をしているのには驚いた。なかでも露店を出して、売っているその商品に目を奪われた。
私は彼らの生態を観察し、そこに住みつくようになるまでの経歴を想像した。想像は尽きず、本書の物語へと発展した。