興奮、感動の歴史エンターテインメント!
"白い騎兵隊"を率(ひき)いる
若き天才将軍と血戦に散った麗人(れいじん)
<鍾離(しょうり)の城が陥落すれば国は危うい──>梁(りょう)帝の信任厚い弱冠二十三歳の将軍・陳慶之(ちんけいし)は、魏(ぎ)の侵攻を迎え撃つため起ち上がった。敵は、梁征服を目論み国境を流れる淮河(わいが)の畔・鐘離の地に迫る勇将、中山王(ちゅうざんおう)・元英(げんえい)と悠久の大地を揺るがす八〇万の軍勢。しかし、対する梁軍の兵は二〇万。圧倒的な敵の大軍を、陳慶之は類稀(たぐいまれ)な軍事的天才でいかに撃退するのか? 国の命運を賭けた壮絶な戦いの火蓋が切って落とされた。六世紀初頭、南北朝時代の中国をゆるがした屈指の血戦を描く傑作歴史小説!
〈著者のことば〉後漢王朝の滅亡(西暦二二〇年)から隋の天下統一(西暦五八九年)にいたる中国の大分裂時代を「魏晋(ぎしん)南北朝時代」と呼ぶ。文化的には「六朝(りくちょう)時代」と呼ぶが、残念ながらこの動乱の時代に対する日本人の関心は、三国時代の初期のわずか十四年間にかたよっており、それ以後の時代はまったく無視されている。だが、書かれていないということは、書く余地がたくさんあるということだ。無人の荒野にダイヤの原石がごろごろ転がっている。素材は手あたりしだいである。智将、勇者、美女がくりひろげる波乱万丈の南北朝史を、スペクタクル・エンターテインメントとして楽しんでいただければありがたい。