濃厚なエロティシズム&アクション
公卿、盗賊、人買い商人…
平安京で荒ぶる若き将門
延喜(えんぎ)十八年(九一八)秋、官位を求め十六歳の将門(まさかど)は上洛した。だが都では、皇胤平氏(こういんへいし)の末裔(まつえい)であろうと、武家は権門に媚びる存在でしかなかった。満たされぬ自尊心。将門は兵法を学び、盗賊退治によって鬱憤(うっぷん)を晴らすが、そんな折、義賊熊坂長範(くまさかちょうはん)が接触を図った。長範は庶民の苦しみを教え、藤原純友(ふじわらのすみとも)との出会いを策した。将門の胸には公卿(くげ)政治への不信が芽生え始め、父良将(よしまさ)が伯父に毒殺されたことも知った…。稀代(きたい)の叛逆児の若き日を、濃厚なエロティシズムとアクションで描く時代絵巻!
<著者のことば>平将門(たいらのまさかど)はすこぶる魅力に富んだ剛勇無双の叛逆児(はんぎゃくじ)である。関東の各地で将門は神となり、いまなお、人々から尊崇されている。歴史上でも、将門は悪人としてあつかわれておらず、それどころか、非常に人気が高い。
この将門を主人公として、濃厚なエロティシズムにいろどられた平安絵巻が劇的に展開していく。瀬戸内海の海人族(わたつみぞく)をひきいる藤原純友(ふじわらのすみとも)、大盗賊熊坂長範(くまさかちょうはん)とその一味など、強烈な自我を担った人物群像が、平安京の百鬼夜行の闇の世を縦横無尽に跳梁(ちょうりょう)する。
将門の胸のすくような活躍を堪能していただければ、作者として、これ以上の喜びはありません