幻想と論理の交錯!20世紀本格推理の名作、登場!
「“本格ミステリ”への想いをすべて封じ込めた作品」綾辻行人
「奇跡の均衡、不思議な美しさ」解説 恩田陸氏
「この家は祈っている。静かに、ひたむきに」――猛吹雪の中、忽然と現われた謎の洋館、その名は霧越邸。訪れた劇団「暗色天幕(あんしょくテント)」の一行は、住人たちの冷たい対応に戸惑い、館内各所で出遇う不可思議な“暗合”に戦慄する。やがて勃発する殺人事件の現場には、何故か北原白秋の詩集が…。奇怪な“連続見立て殺人”の犯人は誰か?館に潜む“何物か”の驚くべき正体とは…? 本格推理と幻想小説の類例なき融合を成し遂げ、我が国ミステリ史上に燦然(さんぜん)と輝く異形(いぎょう)の傑作、ここに登場!
<著者のことば>
信州の山深き地にひっそりと建つ、「霧越邸(きりごえてい)」と呼ばれる秘密めいた洋館が、この物語の舞台であり、主人公でもあります。人間たちはもちろんたくさん登場しますが、真の主人公はやはり「霧越邸」そのものの方だろう、と考えています。
綾辻行人(あやつじゆきと)の代表作である、というふうに云われることもしばしばあります。それが正しいかどうかはさておき、僕が少年時代から抱きつづけていた「本格ミステリ」への想いを、すべて封じ込めたような作品であることは間違いのないところです。
憂き世のあれこれをしばし忘れて、とっぷりと作品世界に浸っていただければと思います。