テレビ東京系“水曜 女と愛とミステリー”
ドラマ化で人気の茶屋次郎
美女絞殺の鍵は記憶喪失?
執念の追跡行で浮かぶ悲劇
福井・東尋坊(とうじんぼう)で旅行作家の茶屋次郎(ちゃやじろう)は、突如地元警察から殺人容疑で連行された。前日近くの雄島(おじま)で東京のOL・竹脇肖子(たけわきしょうこ)が絞殺(こうさつ)され、目撃証言と現場付近の駐車場に停(と)めていた車のナンバーから、茶屋が重要参考人として割り出されたのだ。やがて茶屋の取材の過程で、肖子の父親が三年前、何者かに襲われて頭部を殴られ、以来記憶喪失となっていた事実が明らかに! 二つの事件の関係は!? そして待ち受けるさらなる血の惨劇! ご存じ茶屋次郎の好評“岬シリーズ”円熟の第三弾!
<著者のことば>
私は書斎で小説の構想を練るのが不得手である。当然だが書斎には電話機があり、ファクシミリがある。原稿の締め切り日やインタビューを受ける日時を書いたメモが壁に貼られている。毎日、郵便物がドサリと届く。なかにはすぐに返事の必要なものもある。原稿はこれらのものに急(せ)き立てられながら書いている。
刺激が筆をはしらせるのだ。小説の構想というのは、ペンをかまえたからといって湧(わ)いてくるものではない。創造力をかきたててくれるのは、旅である。旅先のある場所に立って、そこに住んでいる人や旅行者を観察している。その人たちがなにを想い、なにを眺めているのかを想像しているうち、ストーリーがつながってくる。