十津川警部、苦悩の捜査行!
湘南―高山
愛した“女性(ひと)”を追え
湘南の夏、大学ヨット部合宿所の一人娘夕子に捧げた慕情。それが十津川警部の初恋だった―。二十数年後、夕子は娘由紀とともに飛騨高山(ひだたかやま)で旅館の美人母娘(おやこ)女将(おかみ)として活躍していた。事件の発端は、夕子の遺言―遺産贈与話を十津川にもたらした偽弁護士崎田が、絞殺されたことだった。夕子母娘に何が起こったのか? 真実を求めて高山へ飛んだ十津川の眼前で、凶行が連続した。やがて深まる夕子への疑惑。苦悩する十津川の推理とその真相とは? 人気シリーズ、哀切の最新作!
<著者のことば>
刑事にだって、もちろん、初恋はある。それも、幼い頃の、ばくぜんとした想いでなく、成人に達してからの具体的な恋である。十津川(とつがわ)の初恋は、湘南の海の匂いに結びついている。その初恋の相手から、メッセージが寄せられた。そのメッセージは、殺人が絡んでいた。十津川は、彼女に会いに古都高山へ行く。果たして、彼女は、初恋の十津川に純粋に会いたいと願っているのか、それとも、現職の刑事としての十津川を利用しようとしているのか、その謎が次第に解けていく。