ただひたすらおもしろく―
これでノベルスを書いてきた。
夢枕 獏
〈蓬莱山の黄金、鬼道の力、そして空海の秘宝、“四殺(しさつ)”を手中にした者が覇者となる〉東北の花巻で、鬼道の鍵を握る美女鬼名村典子(きなむらのりこ)が黄金仮面の人物に拉致された! 秦(しん)の始皇帝、邪馬台国の女王卑弥呼に遡(さかのぼ)る壮大な秘密を巡り、熾烈(しれつ)さを増す争奪と激闘。精神(サイコ)ダイバー九門鳳介(くもんほうすけ)、密教術の天才僧美空(びくう)、ふたたび魔人として甦った黒御所……渦巻く野望が艮(うしとら)―東北を目指した時、腐鬼の流れをくむケセン族が暗躍を始めた! 封印されたラストシーンへ向けてひた走る空前の超伝奇、興奮の最新刊!
<著者のことば>
今回は、いっきに、過去の話を書いた。各章の頭に、徐福(じょふく)の日本渡来から、オオナムチ、空海、義経、服部半蔵まで、それぞれの核となるシーンを書かせてもらった。
これによってこの物語の中心を貫いているものが、より明確になったのではないか。
それは、「不死」と、「黄金」である。
おもいきり風呂敷をを広げた。
おもしろい。
まだ広げていない風呂敷も幾つかある。
作者として、この広げた風呂敷の責任は必ずとる。