真実を追う十津川警部が悩む!
弟は人殺しなのか?
部下の刑事が突然消えた・・・
警視庁の田中刑事が突然、辞表を残して姿を消した。飲酒運転で人をはね、死体を奥多摩に埋めた弟を守るためだった。部下の苦境を掴んだ十津川警部が対処に苦悩する一方、田中は追い詰められていた。兄弟の実家を監視する謎の男が出現、さらに埋めたはずの死体が消失していたのだ! 上層部から田中逮捕の圧力がかかる中、部下を信じる十津川の推理は? 単純に見えた事件の陰から、やがて貌を現した黒い悪意とは? 国民的名探偵が、真実を求めて事件を追う、感動の最新作!
<著者のことば>
当たり前の話だが、刑事にも家族がある。妻子がいる場合もあれば、きょうだい、両親ということもある。
もし、その家族の一人が、刑事事件を起こしたら、当の刑事はどうするだろうか。冷静に、その家族のことは第三者に委(まか)せ、自分は、動かず、上司の指示を仰ぐのが賢明だが、人間は、理屈では動かず、往々にして、情で動いてしまうものである。当の刑事が、優しい心の持ち主であればあるほど、情に流されてしまう筈なのだ。
この作品でも、自分の家族の一人が、刑事事件を起こしてしまった、生真面目な刑事が主人公である。彼が、どう行動するか、見守って頂きたいと思います。