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蛇の指輪 顔のない刑事・迷宮捜査
スネークリングカオノナイケイジメイキュウソウサ
著者名 太田蘭三
在庫なし

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ISBNコード 4396207794
判型/頁 新書判/232頁
価格 901円(税込)
発売日 2004/05/17

[320万部 大シリーズ!]
4年ぶりに“顔のない刑事”が帰ってきた!
失踪した元警官を追い、特捜刑事香月功は飛騨、伊勢、知多半島へ…著者渾身の書下ろし最新作

「ああ」
こたえながら、カウンターに置かれている荒島の左手を見た。
小指はある。その指に、蛇の指輪をはめていた。
三重に巻きつき細かく刻まれたウロコが鈍く銀色に光っている。
わずかに鎌首をもたげていた。
両眼には小さな宝石が埋めこまれて、
明かりに反射し強い輝きを見せていた。

新宿柏木署の元巡査部長遠沼が拳銃を盗み失踪した――。遠沼逮捕の指令を受けた特捜刑事香月功(かづきいさお)は、極秘捜査を開始。真柄(まがら)組も遠沼の行方を追っていることを知る。なぜ、関西の暴力団が? やがて、香月を黒屋組幹部、蛇の指輪(スネーク・リング)をはめた危険な男・荒島が急襲。遠沼を捜していたフリーターの宮野も消息を絶ち、事件は混迷を深めていく。一体、遠沼は何をしたのか? 宮野がダイビングしていた伊勢志摩で香月は、巨大なヘロイン密輸組織の影を掴むが……。

<著者のことば>
私は、結婚指輪もはめたことがない。関心がなかったし、男が指輪をはめるのは、キザだとおもっていた。ところが、飲み友だちに彫金師がいて、男の指輪が話題になった。私は巳年だ。蛇年である。白蛇は神様の使いだと伝えられているし、蛇は金に縁があるとも言われている。蛇の指輪を作る気になり、その指輪を小説の中で使おうと考えた。自分でデザインを練って、彫金師にたのんだ。それから二ヶ月後に、その指輪が出来あがってきた。「プラチナの光をおさえて、見る角度によってウロコが光るように刻むのは、むずかしかった。頭の部分の光もおさえて、目のダイヤの輝きを際立たせた」と彫金師が言った。カバーの写真の指輪が、生まれてはじめてはめた私の指輪である。