TVドラマ化でおなじみ! 人気シリーズ最新作!
テレビ東京系“水曜ミステリー9”
悪意の激流
茶屋次郎を飲み込む!?
山形・新庄の伯母の家が放火された! 突然の電話に仰天した旅行作家・茶屋次郎は現地へ急いだ。そこで、一流のそば職人でありながら愛人宅に入り浸る型破りな伯母の夫・竹久勘十(たけひさかんじゅう)と出会う。放火は個性の強すぎる勘十への嫌がらせか? 直後、中学生の娘・美鳥(みどり)が誘拐され、茶屋が誘拐容疑者に!? 茶屋は調査を開始するが、今度は勘十自身が何者かに拉致された。犯人は誰か? 犯行は竹久家への怨恨によるものか? 名川・最上川を舞台に描く会心の旅情ミステリー、シリーズ第十五弾!
<著者のことば>
以前、下町にはおもしろいおじさんがいた。人を笑わせて、得意顔をしているのではない。骨太で、腰がすわっていて、頼りになりそうな人だった。けっして裕福ではないのだが、まわりの人たちは相談を持ちかける。そのたびにおじさんの頭は妙案をひねり出すわけではないが、相談を持ちかけた人は納得する。おじさんは雑学に強いもの知りなのだ。そういうおじさんは、得てしていくぶん品がよくない。
近年、上のような御仁(ごじん)は稀(まれ)になった。茶屋次郎の旅は、おもしろい人との出会いを求めての旅でもある。