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天竜川殺人事件 旅行作家・茶屋次郎の事件簿
テンリュウガワサツジンジケンリョコウサッカチャヤジロウノジケンボ
著者名 梓 林太郎
在庫なし

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ISBNコード 4396208162
判型/頁 新書判/248頁
価格 922円(税込)
発売日 2006/05/10

<シリーズ最新作>
過去と現在、二つの殺人が戦後の闇を炙りだす

旅行作家・茶屋次郎(ちゃやじろう)は新宿のクラブ・ホステスから人捜(さが)しを依頼される。捜す相手は、「会長」と呼ばれる金融業者。正体は何を生業(なりわい)としているか不明の謎の人物だった。愛人のホステスの前から忽然(こつぜん)と姿を消したという。目撃証言をもとに長野・天竜峡(てんりゅうきょう)に向かった茶屋は、男の居場所を突き止める。しかしその直後、女性の他殺死体が! 被害者は7年前失踪(しっそう)した、「会長」とつながりのある女性だった。誰がなぜ? やがて、60年前にこの土地で起きた“一家七人惨殺事件”の存在が浮上。2つの事件には奇妙な符合があった……。

<著者のことば>
昭和21年(1946)、南アルプスの稜線(りょうせん)がまだ白い五月、事件は起きた。そのころ私は、母とともに母の実家に身を寄せていた。4キロほど離れていたろうか、女性2人とその子供5人の家族全員が、斧で頭を割られた。母の実家のトイレは外にあった。夜は用足しにゆけないくらい怖く、気味が悪かったのを覚えている。事件以来、どの家も戸締まりを厳重にするようになった。
 あの事件は、なぜ解決しなかったのか……私はその思いをずっと抱いていた。
 大火で飯田(いいだ)市の空が真っ赤に燃え、火の粉(こ)が頭上を飛んだのは、事件の翌年だった。