十津川シリーズ、最新作!
真夜中を走る列車から、男と女が消えた……
北の街新潟(にいがた)に殺人犯と1千万円を追え!
新宿のパチンコ店社長が殺され、従業員三宅修(みやけおさむ)が現金五百万円とともに消えた。彼は二三時九分発新潟行き快速「ムーンライトえちご」で郷里の長岡(ながおか)に向かったと考えられた。一方、同じ夜行列車から、起業資金一千万円を貯めて帰郷する江見(えみ)はるかも姿を消していた……。真夜中を走る列車から失踪した二人の男女。彼らの行方を追う十津川(とつがわ)警部は、不審な女性五人組の影をつかむが!? やがて震災の傷跡が残る北国の街に浮かび上がった、事件と欲望の構図とは? 国民的人気シリーズ、最新作!
〈著者のことば〉一日の乗降客の数が、日本一といわれる新宿(しんじゅく)駅の重要性が増したためか、この駅を始発駅とする列車が、増えている。東武浅草(とうぶあさくさ)駅から出ている日光(にっこう)行きや、鬼怒川(きぬがわ)温泉行の東武の特急が、新宿駅から出ていたり、今回の夜行快速(ムーンライト)えちごが、真夜中に、新宿駅から出ているのは、その表われだろう。
昔、北へ行く列車、特に夜行列車は、たいてい上野(うえの)から出ていたのに、新宿から、それも深夜に出発するというのも、時代の流れかもしれない。日本一の歓楽街新宿と、北の新潟(にいがた)が、夜を間に入れて、結びつくのだ。誰もが、考えるのは、犯罪であり、犯人だろう。私も、自然に、北へ逃げる犯人の姿を想像した。