あの105万部のベストセラー、ついに文庫化!
母から娘へ読み伝えられる感動の遺稿集
「死にたくない。生まれてくる子の顔を見たい……」不治の病に冒された青年医師が、最後まで生きる勇気と優しさを失わず、わが子と妻、両親たちに向けて綴った感動の遺稿集。22年の時を経てもその輝きは変わらない。
夫の遺稿集は娘が嫁ぐその時に…… 井村倫子(みちこ)
現在、長女二十四歳、「まだ見ぬ子」次女は、二十二歳です。私は父親のことはめったに話したことはございません。かと申しましても父親の存在を拒んだわけでもありません。小学校生までは「パパにおやすみのごあいさつは?」青磁の壺のお骨にむかい「パパはあなた達のそばにちゃんといますよ」と話していました。私は娘達にどうこう教えるのではなく、彼女達は彼女達の環境の中で人様に迷惑をかけず何ごとも努力すればよいことだと思っています。夫の遺稿集は娘達が嫁ぐその時、もたせたいと思っております。(文庫判のための「はじめに」より)