<逆転を狙う起業家、ビジネスマン必読の書!>
高塚 猛(こうつかたけし)氏(福岡ドーム、福岡ダイエーホークス代表取締役社長)
「まっとうだからこそ、貴重な言葉」
<今こそ、先人の知恵に学ぼう!>
紀元前5世紀の中国。越の名軍師・范蠡は宿敵の呉を倒した後、名を変えて大実業家として成功した。彼が実体験で体得した「致富(ちふ)の要諦(ようてい)」は、2500年の歳月を経た今もなお、商売の鉄則としてビジネスマン必読である。
<范蠡のこと> 陳 舜臣(ちんしゅんしん)
范蠡は司馬遷の「史記」では、越王句践(えつおうこうせん)世家と貨殖列伝の二ヶ所に登場します。句践に仕え呉王夫差(ごおうふさ)を姑蘇(こそ)山に破ったあと、范蠡はすればやく転身して大実業家になったのです。「蜚兆(ひちょう)尽きて良弓蔵せられ、狡兎(こうと)死して走狗烹(そうくに)らる」は、范蠡が僚友の文種(ぶんしょう)の身を気づかったことばですが、斉に亡命して鴟夷子皮(しいしひ)と名のり、けんめいに働いた結果、巨万の財産を得たといわれています。ところが斉の国の宰相を頼まれると、たくわえた財産をことごとく分け与えて陶に移ってしまいます。「大名(たいめい)の下(もと)には、以(もつ)て久しく居り難し」なのです。斉では開墾で産をなし、陶では交易で富を築いて、こんどは朱公(しゅこう)と称します。「陶朱」といえば中国では富豪のことをいいます。
<「禍(わざわい)を転じて福となす」まっとうだから、貴重な言葉>
福岡ドーム代表取締役社長
福岡ダイエーフォークス代表取締役社長兼オーナー代行
高塚 猛
「経営者はつねに冷静・沈着であれ。慌てふためくと判断を誤るぞ」「従業員には正直者を用いよ」など。范蠡の言葉は、極めてまっとうです。だからこそ、今の時代に貴重なのだと思います。
私自身、シーホークホテルの再建や福岡ドームの観客動員パ・リーグ新記録などに携わってきましたが、まっとうなことをきちんと行なうことの大変さと大切さを痛感しています。
また、逆境に陥った時のポジティブな姿勢に、励まされる思いがしました。禍を転じて福となす。ビジネスマンが抱えている問題に対する処方のヒントが、あらゆる所に隠れているような気がします。