古代から今に受けつがれる匠の手仕事
<「日本人の手仕事」の奥深さ
尾道 大本山・浄土寺 住職 小林海暢(かいちょう)>
私と松浦さんとのご縁は、昭和四十三年に遡ります。
その年、浄土寺昭和期大修理が始まり、本堂(国宝)、阿弥陀堂(重文)、山門(重文)の解体修理並びに、茶室(重文)の修理工事の大工副棟梁だったのが、
職人堅気の松浦さんでした。
松浦さんはその後、足かけ五年も、修理に当たってくださったわけですが、
淡々とした中に垣間見える「仕事」への執念には、いつも感服したものです。
腐りかけた柱はもとより、損傷の部材は補修して、
創建当時の古材を最大限に生かして、新たな生命を吹き込んでいく。
日本人の「手仕事」の素晴らしさ、
松浦さんの「技」に対する感動は今でも忘れられません。
その調えられた技には「伝統と、ものを生かす」心が脈々としていました。
本書を読んで、この素晴らしい技術の心を次の世代へ残そうと、
多くの人が思ってくださることを祈ります。