刃唸（はうな）りがし，鳥飼京四郎（とりがいきょうしろう）の体が躍（おど）った。まさに稲妻の迅（はや）さであった。斬り上げた一瞬，緋（ひ）色の振袖からのぞく白絹の小袖が翻（ひるがえ）る。さらに鳥飼は左右連続の斬撃を繰り出した。その姿はひらり，ひらりと舞う蝶のように華麗だった。唐十郎（とうじゅうろう）の袖口は裂け，赤い血の線が走る──これぞ小宮山（こみやま）流居合（いあい）の奥義（おうぎ）・鬼哭（きこく）の剣を封じる妖剣“飛蝶（ひちょう）の剣”。野晒（のざらし）唐十郎に秘策はあるのか！？