人斬り以蔵、その時…
文久三年―天誅(てんちゅう)、梟首(きょうしゅ)、
略奪渦巻く無法の京に、容貌魁偉な無宿人ひとり
鬼も恐れをなす土佐の岡田以蔵(おかだいぞう)。ほんの半年前まで肩で風を切って京の町を歩いていたのだが、今や無宿人の鉄蔵(てつぞう)。それが「人斬り以蔵」のなれの果てだ。盟友の田中新兵衛が自刃し、師である武市半平太(たけちはんぺいた)が捕らえられ、危機は我が身にも及んでいる。尊攘志士が跋扈(ばっこ)し無法の地と化した京で、喰うために悪事を重ねて生きる以蔵の空白の一年を描く、迫真の長編時代小説!