心の真贋(しんがん)を見抜く
刀剣鑑定師・上条綸太郎(りんたろう)!
馬喰町(ばくろちょう)から上州の駆け込み寺に向かったはずの女が、神楽坂(かぐらざか)の三日月坂で息絶えた。死因はわからず、爪が割れるほど土を掴(つか)んだ女の両手が無念さを物語っていた……。京に本店を構える刀剣鑑定で著名な「咲花堂(さくはなどう)」。その江戸店(だな)を任(まか)された上条綸太郎(かみじょうりんたろう)は女の死に疑念を抱く。刀剣や骨董(こっとう)を鑑定する綸太郎の鋭い眼が人の心の真贋(しんがん)をも見極める、時代人情の傑作書下ろし作品。