人生の秋を迎えた男の異常な性の高揚。
「こんなかたちで『喪失』と折り合いをつける男もいるのだ。」
文芸評論家 野崎六助
老年期を迎えて人生の伴侶(はんりょ)である妻を喪(うしな)った男が、初めて味わうめくるめく性の愉悦と修羅とは? 息子夫婦の閨房(けいぼう)の盗聴、風呂場覗(のぞ)きから始まった“私”の性への衝動はエスカレート。ソープ嬢への惑溺(わくでき)、ついには二十代のモデル・佳苗(かなえ)を愛人に囲うに至る。しかし、彼女につきまとう男の影が、臨界(りんかい)点を越えた“私”の嫉妬(しっと)と妄執(もうしゅう)に火を点(つ)けた……。傑作性愛小説。