不朽のミリオンセラー・待望の新装版!
愛する心なしでは誰も生きていけない
ほんとうは今まで、「愛」という言葉はめったに使わないようにしていたのである。愛という言葉の意味は広大で、こんなに日々、大勢の人々に何の疑いもなく手軽に使われていながら、実はこれほど本質を掴(つか)みにくいものもないからであった。
(中略)
愛というものは、それだけでひとつの完結した世界なのだろうと思う。愛はしかも実用品ではない。何かで買うこともできない。求め方のルールもなければ、その結果がどうなるかという保証もない。
それはしかし、生命そのものである。それだけに哀しく燦然(さんぜん)と輝いている。
はじめに より