なぜ今、「明治の日本人」が重要なのか
125年前、「明治時代の日本人」は近代の幕を開けた。
歴史上、類を見ない偉業を成し遂げたのだ。
その教えは今、「平成の日本」にまさに今日的な意味を持って語りかけてくる。
──ピーター・F・ドラッカー
「変革の時」を生き抜く条件 竹村健一
現代は、かつてアルビン・トフラーが述べた「フューチャー・ショック」(未来の衝撃)が現実になっている「大変革期」である。日本人はこの激動に右往左往しているが、変革期を生き抜くためには、自分を未知の場所、未知の環境に投げ込むことを恐れてはならない。
日本には「未知」に果敢に挑戦した先達がいる。すなわち本書が示す、福沢諭吉をはじめとした明治の偉人たちである。ドラッカーが、かねてから高い評価を与えているように、彼らは武家社会から資本主義への転換という大変革の波を乗り越え、大いなる成功を成し遂げた。そこには、常に「新しい明日」を切り開こうとする理想と情熱、そして挑戦する心があった。
「明日」は単純な「今日」の続きではない。それを本書は教えてくれる。
明治の日本には、三人の重要な人物がいた。
福沢諭吉、渋沢栄一、そして岩崎弥太郎である。
彼らは個人としては、まったく異なっていた。
福沢は「実務家」、渋沢は「倫理家」、岩崎は「起業家」だった。
だが、同じ目標と未来像を描き、勇気と先見性と手腕をもって
近代国家・日本を創ったのである。
今日、三人の偉業が意味するところは大きい。
────ピーター・F・ドラッカー