なぜ、ここドイツでは人が楽になるのだろう?
最初の留学から二三年たったいま、二〇年近く日本で教師の仕事に携わってから、改めてドイツを見ると、学生時代には気付かなかったものが見えてくるように思う。
日に日に変わる日本の教育現場、様々な問題を抱える教育現場から外に出て、ドイツ社会の中で深呼吸したとき、私の目の中に入ってきたものとは、何か。
ドイツの人々との語り合い、街で出会った出来事などをとおして、考えさせられたこととは。そして教師としての今までの自分を反省させられたものとは。
それらを、これから綴っていきたいと思う。
緑あふれる街並み。ゆったりした生活リズム。
国民全体がしっかり取る長期休暇。
入試がなく、のびのび遊び回る子供たち。
すべてに自然な振る舞い──。
ドイツに暮らしていると、自分がラクになっていくのを感じる。
23年ぶりの留学生活で感じたことを一言で言うと、
それはドイツ人の暮らし全般に流れる「ゆとり」である。