手なずけられた日本人への警告
彼らの本性は何も変わっていない
植民地侵略から、経済・文化侵略へ
文明史的考察の白眉の書
東大名誉教授 明星大学教授 小堀桂一郎
『侵略の世界史』に始まつた清水氏の革命的な世界史再検証の試みは、本書に至つて、いよいよ佳境に入つた観がある。世界史の流れの実体を見究めるに際し、従来の西洋白人社会に軸足を置いた視点に根本的な転換を要求していた清水氏の考察は、やがては世界の主要文明の構造の奥底にまで眼光を透徹させずにはおかない必然性を有していた。その約束を氏は、本書に於いて見事に果してみせている。
日本人は自らを大文明の周辺に孤立した、異質で特殊な文化の持主と考へたがる傾向がある。故に「普遍性(グローバル)」を標榜する価値観に弱い。著者は本書を以てその歪んだ固定観念を根底から打ち碎かうとする。この鉄槌を受けて日本人も、又思ひ上つた白人文明も、真の意味での価値の顛倒(てんとう)に眼ざめてもらひたい。