犬を愛するすべての人たちに、この感動をぜひ伝えたい
「犬の牧場」で70頭の犬と暮らしつつ綴った19編の物語
同じように生まれ、同じように育ったとしても、関わる人間によって犬たちはそれぞれの道を歩みます。幸せになる、ならないは、飼う人の犬観によって大きく違ってきてしまうわけですが、どんなに不幸な境遇におかれても犬たちは何も喋(しゃべ)ることができない、それが私にはいじらしいのです。
(本書4章「兄弟犬のゆくえ」より)
著者から読者へのメッセージ
この本は、八ヶ岳山麓の「犬の牧場」で沢山の犬とともに暮らす私が、私を含めた人間と犬たちとの心の交(まじ)わりを、四季おりおりに触れて書き綴ったものです。
本当に温和(おとな)しく健気な犬もいれば、手を焼かせるばかりの困った犬もいます。脚が悪くて前の飼い主から見放された犬もいれば、飼い主さんに事情があって一時的にお預かりしている犬もいます。愛する犬との哀しい死別もありました。どの一頭をとっても、私には忘れられないワンちゃんばかりです。
そんな中から、八ヶ岳の澄みきった空気とともに、19編の物語をお届けしたいと思います。