天文（てんぶん）11年（1542），甲斐（かい）の若き国主武田晴信（たけだはるのぶ）は，仕官を求める隻眼（せきがん）の男に面会していた。この2人こそ，戦国の世に名を馳せた後の信玄（しんげん）その人と，名軍師山本勘助（やまもとかんすけ）であった。勘助はまだ一介の国主であった晴信に，天下取りの野望を芽生えさせる。そして，その第一歩として，隣国信濃の併呑（へいどん），経略の初手として信濃諏訪（すわ）郡攻略の秘策を進言するのであった……。新算鬼謀（しんさんきぼう）の山本勘助を得た若き信玄が，天下制覇に向けて歩み出す姿を描く，著者渾身の歴史巨編第1弾！