6世紀初頭,南北朝時代の中国。北朝・魏(ぎ)は,建国して間もない南朝・梁(りょう)への侵攻の機会を窺っていた。梁側では,その軍事的天才により王の信頼篤い弱冠23歳の将軍,陳慶之(ちんけいし)が魏の来攻に対する備えを固める。ついに,国境を流れる淮河(わいが)の畔(ほとり),鍾離(しょうり)の地に中山王(ちゅうざんおう)・元英(げんえい)率いる魏軍80万が押し寄せてきた。対する梁軍は30万。果たして陳慶之と梁軍は,圧倒的な大軍を撃退できるのか?騎兵と水軍を駆使した雄大なスケールの戦闘,両軍の智将・猛将の超人的な活躍に,戦(いくさ)の陰に散った男装の麗人の悲恋をからめて,中国史上屈指の大戦“鍾離の戦い”を描き切った,著者会心の傑作歴史小説!