斉（せい），韓（かん），魏（ぎ），趙（ちょう），燕（えん），秦（しん），楚（そ）の戦国七雄が覇を競う古代中国。戦場を眺め，その帰趨（きすう）を見抜く青年がいた。名は孫賓（そんひん），斉・梁山泊（りょうざんぱく）の出で，兵法書『孫子』を残した孫武（そんぶ）と同じ謎の一族・孫氏（そんし）の者であった。戦塵の中，孫賓は同じく兵法を学ぶホウケンと知り合う。やがて戦火に見舞われた故郷に戻り，消失した兵法書の修復に着手した孫賓は，孫一族が背負った秘密を知る。そんな時，今や魏の将軍となったホウケンに招かれた孫賓は，彼の才能を恐れるホウケンに裏切られ，ヒンケイによって両脚を失ってしまう。罠に陥ちたことへの自戒を込めソンビンと改名した彼は故国斉の軍師となり，ホウケンへの復讐を誓った…。天才軍師の生涯を通し，兵家の聖典（バイブル）『孫氏の兵法』成立の謎に迫る歴史巨篇！