気象予報士試験会場で受験生の大瀬古(おおせこ)が謀殺された。彼が食べた弁当に青酸(せいさん)が仕込まれていたのだ。大瀬古は絶命寸前、なぜか、かつて集中豪雨の地下駐車場で溺死した岸名(きしな)という男の名を呟いた……。毒殺現場を目撃した添町友音(そえまちともね)は、気象情報会社エオリアンでアルバイトをしながら、密(ひそ)かに事件の真相を追った。エオリアン内部でも、以前給茶ポットに硼酸(ほうさん)が混入される怪事件が発生しており、また所属する二人の天気キャスター麻生春菜子(あそうはるなこ)と依藤千咲子(いふじちさこ)が対立していた。やがて友音と春菜子が、台風が直撃する御前崎(おまえざき)に向かった嵐の夜、また新たな難事件が……。推理界の異才が先端ビジネスの現場を舞台に放つ、空前の本格“気象情報”ミステリー!