一八三九年初頭、清(しん)朝第八代皇帝・道光帝(どうこうてい)から密輸アヘン駆逐(くちく)を命じられた欽差(きんさ)大臣(特任派遣大臣)・林則徐(りんそくじょ)は北京(ペイチン)から広州(こうしゅう)へ向かった。アヘン密輸で私腹を肥(こ)やす政府高官たちは、林則徐が買収に応じないことを知ると、これを除くべく、“モンゴルの三鷹(さんよう)”と呼ばれる三人の刺客を放つ。迎え撃つは林の護衛として随行する宦官(かんがん)・“花進(かしん)”。その正体は、大塩平八郎(おおしおへいはちろう)の蜂起に参加後、日本を脱出して中国に落ち延びてきた、もと大坂東町奉行所同心、花房一之進(はなぶさいちのしん)だった。秘剣“虎の骨”を遣(つか)う居合いの達人、一之進と刺客たちの壮絶な死闘が始まる……。アヘン戦争前夜、激動の時代を駆け抜けた男たちの数奇な運命を描き切った歴史冒険小説の傑作!