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さむらい 遺訓の剣
サムライイクンノケン
著者名 鳥羽 亮
在庫なし

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ISBNコード 4396632177
判型/頁 四六判/288頁
価格 1,870円(税込)
発売日 2002/11/27

切腹の際(きわ)の父の遺言を胸に自らに刻苦を強いる剣豪成長小説
「侍らしく、生きよ」

上空に十六夜(いざよい)の月があり、
闇に視界が閉ざされることもなかった。
梶は上段に構えていた。
月光を浴びた刀身が、
青白くひかっている。
対する辰之助は、
敵の喉元に切っ先をつける青眼(せいがん)である。
構えの威圧も気魄(きはく)も、
ふたりはほぼ互角だった。
構えからの気攻めだけでは、 相手をくずせないと見てとった二人は、
少しずつ間合いをせばめていった。
一足一刀の間境の手前で、
ふたりはぴたりと足を止めた。
隙がない。
上段と青眼に構えたまま、
二人は塑像(そぞう)のように動かなかった。(本文より)

無念の死、だが、もののふとして決然とした潔い割腹だった。介錯人から「侍らしく、生きよ」という父の遺言を伝えられた十歳の遺児・秋月信助(あきづきしんすけ)は、その言葉のみを胸に、「罪人の子」として待ちかまえる人生の苦難に立ち向かっていく。家禄は減じられ、母子三人、餓死寸前の貧弱生活。それでも誇りを失わず、子に厳しさと慈愛をそそぐ母。
東軍流剣術に邁進する信助に、十一年前、父を死に追い込んだ藩の内部抗争が再び襲いかかる。糧を得るため武士の矜持を捨てるか、信念を貫いて死地に赴くのか……。かつてない凄まじい剣豪小説であり、家族愛の小説でもある時代傑作、ここに誕生!