全国1億の有権者に贈る、これぞ日本の清く正しき選挙小説!?
談合、根回し、饗応、買収。無理が通って道理が引っ込む――
「奇麗事では済まんぞ、田舎てとこは」
四方(よも)を深い山々にかこまれた鍵田原(かぎたわら)郡戸蔭(とかげ)村――。莫大な借金を残し引責辞任した前村長の後を受けまして、村議・深沢清春(ふかさわきよはる)は助役・平山忠則(ひらやまただのり)に村の立て直しを請(こ)われます。村長におさまった清春の改革によって、戸蔭村は平和な村になりましたとさ……と参るわけがございません。なんと清春を推(お)した平山が対立候補として出馬! おまけに土建屋、材木屋、村会議長――村中の有力者が推薦人にずらり。ここに戸蔭村、数十年ぶりの選挙戦が勃発したわけでございます。人も足りない、金もない。あるのは村への想いだけ。ないない尽くしの深沢清春、家族を頼りに打って出た、一世一代の大勝負の行方や如何(いか)に!?