戦闘者として稀代の能力を持ちながら、誰にも縛られることなく風のように自由に生きた天下一の忍びの爽快なる生涯を描く時代ロマン
三十万の上方(かみがた)勢に闘いを挑む!
秀吉を脅かし、家康が最も懼(おそ)れた男――。
身の丈七尺の巨躯、南蛮人と見紛(みまご)う異相、桁外れの迅さと膂力(りょりょく)。深山を駆け、幽谷を疾る――。
箱根に「風神の子」ありと武将たちから恐れられた英傑がいた!
「秀吉と家康を同時に討てば、おもしろいだろうな」
ほんとうにおもしろそうに、小太郎は言った。……
小太郎の黒耀石を想わせる双眸に、強い光が宿った。
――本文より
時は戦国。天下(てんが)取りを狙う群雄が割拠し、忍び衆が諸国を暗躍する時代――。関東の雄・北条氏征伐のため、豪壮な陣城(じんじろ)から小田原城を睥睨(へいげい)する豊臣勢。北条氏百年を陰で支える風魔(ふうま)一党の束(たば)ね風間小太郎(かざまこたろう)は主君一門を救うための奇策を講じた!