徳川を盗(と)れ
八代将軍 吉宗誕生の陰に驚天動地の策略が!?
剣豪小説の第一人者が大胆な着想で描く時代伝奇の傑作誕生!
知力と知力、剣と剣の鎬(しのぎ)あい、これぞ時代伝奇の醍醐味!
角兵衛の身も激しくふるえた。新之助とちがって、角兵衛はこの真実の裏にある真田一族の恐るべき奇謀を垣間見たからである。そして同時に父幸真の知謀溢れる本当の素顔に接したような気がしたのである。角兵衛は改めて父の顔を見た。そこには、まさしく戦国武将のような毅然とした姿があった。
豊臣家を再興させよ。
大坂夏の陣から70年、天下は徳川綱吉の下、泰平の世にあったが、御三家のひとつ紀伊徳川藩で覇権奪還をうかがう者がいた。大番組頭・加納平次右衛門である。彼こそ大坂夏の陣で死んだとされる真田大助の孫・幸真であった。豊臣秀頼とともに炎上する城を逃れた大助は紀州に潜み、虎視眈々とその時を待っていたのだ。ついに豊臣の血を引く若君が誕生。幸真の策略は動き出したのだが、その前に立ちはだかる敵が……。真田一族の悲願は成るのか!?
豪剣、秘剣、忍術が入り乱れる興奮の時代小説!